スポーツの障害の中でも特に多い「疲労骨折」についてお話しいたします。
疲労骨折とは、「骨折」という名前こそ付いていますが、一回の大きな外力で発生するいわゆる通常の外傷性の骨折とは異なります。むしろ小さな弱い外力が繰 り返し加わることによって軽い損傷が治ることなく残っている状態をいいます。そして、このような外力が長いこと加わり、結果的に通常の骨折に至るケースも 多くあります。
この疲労骨折ですが、スポーツが普及するにつれて、オーバーユース(使い過ぎ)による発生数が増えています。また車にばかり乗り、歩く機会が減った現代の生活スタイルも多少なりとも影響しているようです。
疲労骨折がよく発生する部位とスポーツ競技を挙げてみますと
- 1 .尺骨(肘より先の腕の小指側の骨)→剣道
- 2 .肘頭→野球
- 3 .肋骨→ゴルフ
- 4 .恥骨→長距離走選手
- 5 .脛骨→ジャンプ競技、ランニングの多い競技
- 6 .足舟状骨→陸上、ランニングの多い競技
- 7 中足骨→ランニングの多い競技、第5中足骨はサッカー
といった具合に、スポーツ競技毎に疲労骨折の発生する部位は大体決まっています。
これらスポーツに伴った疲労骨折に対して、保存的に治療するか、手術をするかの判断が非常に重要です。
当然、手術でなく保存的に疲労骨折部位の安静や競技動作の改善、靴の中敷きの改善、さらには超音波治療機の使用などで骨の治癒が期待できる場合はそのように治療するのが最高の方法です。
しかし、残念ながら、スポーツ競技によってはその動作を続ける以上、手術的に治療しなければ治らない場合があります。また、治るまでに何ヶ月または何年と 大変長い時間を要する場合があります。こうしたことを知らずにやみくもに保存的に治療をしていても時間がもったいないばかりか、症状が悪化してより治りに くくなったり、再発して再度痛みが出てしまう場合があります。
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