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つらい目の疲れ…。「毛様体筋」の凝りが一因 |
目はレンズの働きをする水晶体の厚さを、対象との距離に応じて変え、焦点を合わせています。水晶体の厚みは毛様体の周囲にある「毛様体筋」という筋肉の働きによって調節されています。パソコンやスマホなど近い画面を見続けると、「毛様体筋」は緊張し続け、やがて肩こりと同じような凝った状態となります。そのため、「目がショボショボする」「目がかすむ」「目が重い」といった疲れの症状が現れ、さらには、それが原因で、「肩こり」や「頭痛」「倦怠感」などの症状も引き起こされることがあります。最近は明るい高輝度の画面が増えたことで、目への刺激はさらに大きくなっています。 目の疲れが一時的なものであれば、休息や睡眠をとることで回復します。しかし、慢性的な疲れとなると、容易には回復しません。目が疲れたときは、早めの対処が大切です。 |
ドライアイの原因は、パソコンやスマホの見すぎ!? |
物を意識して見るとき、凝視という状態になり、まばたきの数が減ることがわかっています。パソコンやスマホの画面を見るときも例外ではありません。 まばたきをして目を開いたとき、まぶたの奥にある涙腺やまつげの生え際にある「マイボーム腺」から涙が分泌され、目を閉じたときに「涙点」という小さな孔から排出されます。まばたきの数の減少は、涙の分泌量を減少させるとともに、目を開いている時間が長くなるため、涙が蒸発し、目の表面が乾いてきます。この状態をドライアイといいます。 肌が乾燥すると荒れるように、ドライアイが進行して目の乾燥がひどくなると、目の表面(角膜)が荒れて傷がつくようになり、目が痛んだり、充血したりしてきます。重症化すると、視力が低下したり、最悪の場合には失明してしまうこともあります。 |
こまめな休憩や画面との距離が大切!上手に目を休ませよう |
目の疲れやドライアイを防ぐには、パソコンやスマホの長時間使用を避けることが一番です。また、こまめに休憩をとることも大切です。休憩中は意識的にまばたきをしたり、遠くを見たりするとよいでしょう。 例えば、電車の中でスマホの画面を目に近づけて見ている人をしばしば見かけます。これでは毛様体筋に無理な収縮を強いることになり、目の疲れを招きやすくなります。 パソコンやスマホなどの画面と目との距離は、最低でも40cm以上離すのがよいとされています。(厚生労働省「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」) また、画面はやや見下ろす位置に置きましょう。その方が、目の開きが少なく、涙の蒸発を防ぐことができるからです。画面に照明や太陽光が映り込むと、目に大きな負担がかかるので、できるだけ避けるようにしましょう。 室内の空気が乾燥していると、目が乾きやすくなるので、加湿器を利用するなどして保湿を意識しましょう。エアコンからの風が目に直接当たらないようにすることも大切です。 |
食事、睡眠、目のケア。自分でできる疲れ目の改善! |
目の疲れを感じたら、温かいタオルを当てるなどして、目を温めるとよいでしょう。 ドライアイは、涙に含まれる油分がマイボーム腺に詰まることで油分の分泌が少なくなり起こることがあります。目を温めることで目の筋肉の血流を促し、詰まっていた油分が溶けだしてドライアイが改善されることもあります。 目の体操も疲れ目の改善に役立ちます(右のイラスト参照)。気持ちがいいと思える程度の回数を行うとよいでしょう。 疲れ目対策として積極的に摂りたい栄養素は、網膜(眼球の内面を覆うスクリーン)内で光を感じる物質ロドプシンの材料になるビタミンA、強力な抗酸化作用があるビタミンCやE、筋肉の疲労をやわらげるビタミンB12(牛・豚・鶏のレバー、カキ、さんまなど)です。また、青魚に多く含まれるEPAやDHAなどのオメガ3脂肪酸はマイボーム腺を正常化するといわれています。 十分な睡眠は、酷使した目の疲れをとるだけでなく、ドライアイの誘因となるストレスの解消にも有効です。良質な睡眠を得るために、寝る前のパソコン作業やスマホ操作を控える、就寝前にコーヒーや緑茶などのカフェインを含む飲み物は避けるなどを心がけましょう
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