しびれ
一言でしびれといっても、実は非常に多様な病態を含んでいます。
長く正座した後に起こるような「足がしびれる感覚」もしびれですし、ぴりぴりする感じ、手足に力が入らない(麻痺)も、しびれのひとつです。
通常、しびれを感じる場合には神経系のどこかに障害が起きていることがほとんどです。神経とは、脳や脊髄などの中枢神経系と、そこから発せられる情報を各組織に伝達する末梢神経系に分かれます。
たとえば、「右手を上げたい」と思った場合には、大脳から脳の中を順次電気信号が伝わっていき、脊髄を通って、頸椎の高さで末梢神経にバトンタッチし、肩や腕の筋肉を動かすことで右手が上がります。また、急に転びそうになった時には、「反射」といって、体の各部位から「転びそう 危険だ」という信号を受け取り、それを頭で意識するより先に体を動かすことで、転ぶのを防ごうとします。これも神経の働きです。つまり神経は、中枢神経から末梢神経や命令を伝え、末梢神経から中枢神経に情報を伝える伝達役を果たしているのです。しびれは、こうした神経の経路に異常が起きた時に起こります。
しびれの原因は大きくわけて4つあります
・脳疾患
・脊髄疾患
・神経根障害
・末梢神経障害
①脳疾患 脳によるしびれにおいて、代表的なものは脳梗塞です。その他、脳出血、脳炎、神経変性疾患などがあります。血管がつまることによって脳の細胞が死んでしまうのが脳梗塞です。また、動脈硬化や動脈瘤等があると脳内に出血することもあります。ヘルペスウイルス等が脳に関して脳炎をきたすこともあります。また、いわゆる難病とよばれるような、稀な神経疾患も起こります。 通常、脳疾患においては、しびれが1か所だけに生じる、ということは稀です。脳は神経細胞が密集していますので、さほど広範な出血や梗塞でなくとも、2か所以上に麻痺が出る場合や、しびれに加えて口からよだれが出てしまうなど、2つ以上の症状が出ることが多いのが特徴です。
②脊髄疾患
脊髄は神経線維と神経細胞の集合体ですので、外傷性脊髄損傷、脊髄炎、脊髄腫瘍、脊髄梗塞などによって脊髄が損傷すると体幹や四肢にしびれが生じます。
ある高さの脊髄が障害を受けると、そこを通過する刺激が伝わらなくなってしまいます。たとえば事故で腰の脊髄が完全に障害されると、下肢への神経刺激が全く伝わらなくなるため、下肢が動かせなくなりますし、反対に下肢からの刺激も脳に伝わらなくなりますので、触ってもわからないような状態になります。しかし、手に関してはそれより上の脊髄で支配されていますので、問題なく動かすことができます。
③神経根障害
脊髄から神経が出ていくところを神経根といいます。
その神経根が障害されると、しびれが起こることがあります。下腿の前面だけしびれるなど、神経支配に沿ってはっきりと限局した範囲にしびれが出るのが特徴的です。
④末梢神経障害
末梢神経に障害が起きる原因としては、大きく分けて、
・神経が圧迫された場合
・神経周囲の血流が障害された場合
・神経に炎症が起きた場合
があげられます。
たとえば糖尿病で神経障害起きるのは主に末梢神経障害が原因です。その他、ハネムーン症候群などといいますが、腕枕をして寝ていたら手が上がらなくなる、といった病態は、圧迫によって末梢神経が障害されたためにおきます。
このように、しびれというのは多種多様な原因で起こりますので、実際の診療ではしびれの分布や、随伴する症状、発生してからの経過などを総合的に判断して原因を突き止めます。原因によっては、不可逆的な症状として残ってしまうことも多々あるのがしびれという症状の厄介なところでもあります。一度の受診で原因が分からないこともあります
しびれの原因と治療
しびれの原因にも、様々なものがあります。
原因となる部位で分けるのであれば、末梢性、脊髄性、中枢性となります。
早めに検査をしないといけない(放置してはいけない)しびれとして、顔や体の半分がしびれる場合、脱力・麻痺などの神経症状を伴う場合、頭痛・めまいなどの症状を伴う場合は、脳(中枢性)である可能性があるため、早期診断をすすめます。
比較的多い症状として、肩こり、頸部痛にともなって、腕や手がしびれる場合は、頚椎のヘルニアなどによる頚椎症性神経根症があります。
症状の範囲は、障害を受けた神経根の支配領域にそったしびれ、痛みとなります。
交通外傷に伴うもの、糖尿病に伴うもの、感染、炎症、アルコール、薬剤等、様々な原因でしびれ・痛みをきたします。
原因がわかった上で、治療を進めていくことになります。
診断の遅れが大きく予後にかかわる場合があるため、特に脳卒中に起因するしびれは早期診断、治療が必要になります。
広島西区整体院 大元気整体院